竜の面白い所は、その伝承が世界各地にあることです。
ハムの生まれてからずっと調子が悪い脳でも
・中米−カンヘル
・南米−ケツァルコアトル
・日本−八岐大蛇、九頭竜
・シナ−龍神、四大竜王
・オーストラリア− グランガチ
・北欧神話−ミドガルズオルム、ニーズホッグ、ファブニール
・インド−ヴリトラ、ナーガ
・中東−ザッハーク、アジ・ダハーカ
・キリスト教圏−古き蛇、レヴィアタン、バハムート etc.
・ギリシャ−テュポーン、ラドン、ヒュドラ、オルトロス etc.
・エジプト−アポビス
・韓国−そもそも神話あるのか?
と、思い出せる程竜の伝承は世界各地に存在します。
ただ、面白いのは地域によって竜の属性が異なったり、逆に遠く離れた共通した点がある事です。例えば、キリスト教において「蛇」といえばサタンそのものですが、中国の古代神話における人類の始祖は人頭蛇身(女禍、伏羲)の存在だったりします。一方、ギリシャ神話におけるテュポーンはタイフーン、台風を現し、これは洪水の化身である八岐大蛇と同一、あるいは近い存在と考える事ができます。これらに限らず竜は基本的に、
1.蛇がモデル
2.災害の化身
である事で世界的に共通しています。おそらくは、蛇の、四肢がない異形は古代の人々にとってとても奇異な存在に思えたのでしょうね。蛇、といえばすぐに毒蛇と連想する人が多い位ですし、災害の化身にされる傾向があるのもそんな蛇への恐怖に起因するのかもしれません。個人的にはプリティな動物に思えますが。
ただ、蛇にはもう一つの側面があります。つまり脱皮です。
医局などで、二匹の蛇が絡み付いた杖の紋章をみたことがないでしょうか?あれはヘルメスの杖、と呼ばれるものでギリシャ神話における神々の一柱であるヘルメス神の神器です。一部の地域において、蛇は脱皮する事から転生の象徴とされ、無限の命を持つものとして錬金術や医術で重要な役割を果たすものとされました。この側面から蛇はしばしば信仰され、かの十字軍でも蛇を信仰した部隊があったそうです。異端審問喰らって潰されましたが。また恐れは畏れにつながり、自然信仰という形で神に祭られた竜も多かった様です。これがキリスト教圏において邪悪な存在とされる様になったのは、ゾロアスター教の善悪二分論の影響でしょう。ゾロアスター教が生まれた中東では蛇といえば危険な野生動物ですから、無理もないことです。