第一章  暴虐の姫・戯れの夜  -後悔先に立たず- 

この世で狂気というものがあるとすれば、それは人の心そのものだ。
一人一人の心はそれこそ混沌の渦の様に深く、複雑で不可解である。
が、諸君も知るように集団となった人間の心理というのは実に分かりやすい。
まぁ、だからこそ我々為政者が食っていけるわけだがね。
      ー
「公国」バロン・エドワード 「ファシズムとコミュニズムのススメ」公暦246年 ー

 まるで世界が鴉の翼で包まれたような、漆黒の夜。
 侯爵令嬢アニタレスト・ヘル・スター ニアとその「仲間たち」は聖アタウアル
神聖帝国の第二副都・ペヌエル都心、ペヌエル有数の巨大ホテル「ウレイス」の
最上階・ロイヤルストレートスイートルームというポーカーなのか 部屋なのかよ
く分からない名前の豪奢極まる部屋にいた。
 本来、「駆逐士」である彼等が泊まれるような場所ではない。 
 むしろ「駆逐士」である彼等ではフロントでドアボーイの必死の気迫の前に門前
払いされるのが関の山だ。
 では何故彼等はそのホテルの最上階の、最高の部屋にいるのか?

 答えは一つ。 

「帝国」でも有数の子煩悩としてしられるスター ニア家第12代目当主・レエモ
ン侯爵の差し金であった。

 魔法による明かり・それにこれでもかという程に対呪式硝子を天井にはめ込んだ
優雅な部屋の中を、部屋の優雅さにふさわしいと思える美貌の紅色の髪の美女…
いや、美少女が神経質そうに歩き回っていた。
 次代スター ニア家当主にして、円卓十字騎士候補であるアニタレスト・ヘル・スター ニアである。

「父君ったら! これじゃ、修行にならないじゃないか!」
 先ほどからすでに数十回は繰り替えられているその言葉を、「座天級異形駆逐士」
リオン・アイン・ ルネトストは賓客用の豪華のソファーに居心地わるそうに座りな
がら聞いていた。
  彼の相棒であり、気ままな ハーフ・エルフであるライブ・ネキメシアは彼を見捨
ててすでに夜の街にくり出している。

 リオンとしても、好きでアニタレストの愚痴をきいているわけではない。
 流石に夜の街にくり出すつもりはなかったが、誰が好き好んで(いくら美少女とは
いえ。)愚痴をきくものか。
 全ての事の発展は、一週間前にリオンとライブが犯してしまった間違いにあったーーーーーー

・・・・・・・・・・・・・・・一週間前

 第二副都ペヌエル都心・聖アタウアル神聖帝国防衛庁異形専門駆逐士総括部・ぺヌ
エル都第一支部分室。
 花崗岩で建てられた、無駄に堅牢な警察署内にある部屋。
 そこで、 リオンとライブは部屋の名前と同じく無駄に長い役職をもった男と面会し
ていた。
 異形専門駆逐士総括部・ぺヌエル都第一支部分室室長ヴィーズエル。
 それがその男の名前だ。
 ヴィーズはどんな時でも制咒仮面により顔を見せない事に始まり、 1年を通して服
装をかえない事や常に浮かべている微笑などの所為で部下等に真性変質者とまで呼ば
れる。
  だがわずか16歳という若さで国家試験を一発合格・ノイローゼで自殺者が多発す
る事で有名な中央帝国呪講大学を2年で卒業したエリートであり、若年でありながら
もすでに防衛省特殊部の分室室長。 いずれは軍部の上層部にまで到達する事 が間違
いない人間であった。

リオン・アイン・ ルネトスト。 ライブ・ネキメシア。
「主天級異形駆逐士」と「座天級異形駆逐士」である二人はぺヌエル都の「駆逐士を総
括するヴィーズに呼び出され、普段絶対立ち入ることもない警察署に警察官達の敵対心
に燃える目線を浴びながらやってきたのだ。


用・語・説・明♪
「駆逐士」
 この腐れ小説の舞台、「ゼノタイム」では我々の世界ではおとぎ話の中の存在である化
け物が多数実在する。それは例えば序章で登場した狼男であったり、吸血鬼だったりする
がそれ等の生物はまとめて異形・もしくは魔物と呼ばれる。物理学をとことん無視した力
を持つ彼等の前では人間はあまりにも非力で哀れな獲物に過ぎないが、人間の中に
はそれらの魔物を狩る事を生業とするものたちがいる。 「ハンター」である。

 一般的に民間の「ハンター」は単に「ハンター」と呼ばれるが、政府に公式に認められた
「ハンター」は「 駆逐士」なる称号で呼ばれ、有事の際の軍の召集に従う代償に国家から
俸給・そして特権を与えられる。

 皆が国家試験に合格したものたちなので、当然一般の「ハンター」を超える精鋭で構成さ
れており、「 駆逐士」の一個小隊は従来の一個大隊をもうら回る戦闘能力を保持していると
されている。

 また、「 駆逐士」はその実力により9つのヒエラルキーにわかれている。
 下から凡天・大天・権天・力天・能天・主天・座天・智天・熾天。
 上位の者になれば、一人で吸血鬼や竜さえも退治可能な実力を持っているという、まさに
最強の人間兵器予備軍なのだ。


 「…というわけで、お二人には侯爵家令嬢アニタレスト次期侯爵の「護衛」を一任します。」
 朗らかな声と、仮面の下からのぞくにこやかな表情でヴィーズがリオンとライブに言った。
 その声はよどみなく、聞くものを心地よくさせる雰囲気に包まれていた。人によってはこの声だ
けでいかなる任務内容でも進んで快諾しただろう。
 が、それもリオンとライブにはあまり意味はない。

 「…なんだ。えらくまともな任務だね。」
 ライブがつぶやく。その顔は、徹底的に不審だと思っているライブの心内を露骨に示していた。

 「ですから、今回のはいたってまともだとお伝えしたでしょう?」
 「だが、貴方には前もそういって俺達に無理難題を山盛りミックスで押し付けた前科がある。」

 リオンが皮肉げな微笑を浮かべる。 だが、その表情とは裏腹に今回の任務をそれほど苦として
受け止めていなかった。
 何せ、仕事内容がペヌエル都に次の土曜日に来訪する侯爵家令嬢の護衛をするという、どう考え
ても悪くは転がらない話だったからだ。
 今までも悪くは転がらないと思って受けた任務が、実はとんでもない難事件に絡まっていたこと
は幾度となくあったが、侯爵家のご令嬢を護衛するというある種優雅な任務が難事件に絡まるよう
な事になるとは思えない。
 それに実はリオンは侯爵令嬢アニタレスト・ヘル・スター ニアとは面識がある。
 すでに十年近く昔の話では有るが、其の時リオンが見た彼女は元気な、ごく普通の可愛い女の子
だった。
 年も割と近いこともあって、リオンとアニタレストはとても仲がよく、アニタレストはリオンを
兄と慕ったくらいだった。
 ちなみに彼の名誉の為に言っておくと、その時はリオンも十代半ばか少し下ぐらいであり決して
年下愛好癖があるわけではない。
 そんな彼女と再び出会えるというのは、決して悪い話ではない。それに彼女がどれだけ美人になっ
たかも見てみたかった。

 さらに、任務につけられた多額の報酬もリオンには魅力的であった。
 本来軍属の「ハンター」たる「駆逐士」には任務に対する報酬などはでないのだが、ペヌエル都では
事が比較的小さい場合は「駆逐士」の士気をあげる為にも「特殊手当」という形で成功報酬が支払われ
ていた。
 純粋に軍規に照らせあわせればぎりぎり違法ではあるが、元々ヴィーズが提案したものなのでベヌエ
ルでは誰も咎めはしない。
(実は咎めた者もいるが、そいつはひそかに暗殺されたという噂も流れている事をリオン達知っている。
 身の保全と精神衛生の為に追求しないが。)

 勿論、リオンも甘い話には裏があるのは重々承知している。
が、今回の任務の報酬は確かに割高ではあるが子煩悩で知られる侯爵がバックにいると考えればありえ
ない範囲ではないし、何よりライブが無駄に費やす術具や研究費、それに破壊呪法に巻き込んで破壊し
た家屋などの弁償の所為で傾きまくってこのままでは180度回転を果たしてしまいそうな彼等の経済
状況を好転させる為にもリオンに選択の余地はなかった。
ただ、ヴィーズもそれを当て込んでリオン達に任務を依頼しているのは明かであったので癪ではあったが。

「…まぁ、しかし、室長殿の依頼に逆らうわけにもいかない。 任務了解。 剣と羽に誓って、ドミ二・リオンはこの任務を遂行する。」
「では左に同じく。 ソロネ・ライプ任務了解だよ。」
「はい、期待していますよ。 こちらが必要な資料です。 では、がんばって下さいね。」
ヴィーズの笑顔に送り出されてリオンとライブは退出した。
…そして後悔することになった。 もっと深く考えておけば良かった、と。

・・・・・・・・・・ そして現在。
リオンは、猛烈に後悔していた。 何を? 
何故侯爵家のご令嬢がわざわざべヌエルまで来るのかをを考えなかった自分をだ。

5日前、一張羅を着込んでセントラル・ステーションまで出迎えにいったリオンとライブは
そこで何故ヴィーズが自分達にこの任務を押し付けたのかを悟った。
そして呪詛をヴィーズに向かって吐いた。それはもう。 猛烈に。

アニタレストは円卓十字騎士団入団の試練を受けにわざわざべヌエルまでやってきたのだった。

円卓十字騎士団というのは「帝国」でも貴族の子弟のみで構成される大陸でも最強と名高い騎士団の事で、
リオン達「駆逐士」が比較的闇の存在であるのに対して、彼等は表舞台にたつ英雄達であった。

もちろん入団を果たす為には超過酷無比ないくつもの試練を受けねばならない。
単に貴族の子供という事では入団は絶対不可能。
筆記試練に始まり数々の試練を乗り越えて初めて入団できる。

その試練の一つとして、魔物退治の実績が必要な為アニタレストはわざわざ遠く
「帝国」の首都ゼノタイムスからべヌエルまでやってきたのだ。
それというのも最近べヌエルで数多くの人狼による事件が多発していたからであり、
アニタレストもそれを当て込んでべヌエルに来訪した。
ーーー そして。 
「護衛」としてあてがわれたはずのリオンとライブは「レディのお供」というありがたい称号を
アニタレストから授かり、人狼多発事件の原因の究明・そして解決に嫌々ながらつきあわされる事になったのだ。
そしてすでに彼等(彼女とそのお供 by アニタレスト) は10体もの人狼をこの五日間で仕留めていた。
…ちなみにその死体を警察まで運んだのはリオンである。

「駆逐士」であるリオンとライブは元よりアニタレストもかなりの使い手であった為、
サクサク人狼を狩出す事に成功していたが侯爵によりアニタレストの門限が10時半までと定められているので
しかたなく夜はホテル・ウレイスの最上階の根城で時間を潰していた。(アニタレスト曰く「作戦会議時間は必要ですから。」)
そして冒頭に戻るわけだ。

「それにしても…。」
「……。」
アニタレストが、長い足を優雅にくんでリオンが座るソファーの向い側にある応接用の無駄に高価そうな椅子に座る。

「なんでまた、街中に人狼なんか出没するんだ?」
「分かっていたらすでに解決してるよ。」
リオンが首をすくめて適当に応対する。
が、それはリオンも疑問に思っていたことだった。

 人狼。
 確かに彼等の大半は人類に対してあまり友好的ではない。
 それは彼等の中に満月を見ると全てを見境なく破壊するバーサーカーの因子を持つ種類がいるから
というのもあるが、それ以上に人類のほとんどが本能的に彼等人狼を恐怖していた事に起因する。
 恐怖はいずれ憎悪を産み、狂気を産む。 それが故にかっての混沌時代では無秩序な「人狼狩り」
が横行した。
 狩りは陰惨を極め、生体実験や、公認されていはいないがその他とても言葉にするのは憚れる様な
虐待も行われたとすら噂されている。
 それ以来生き残った人狼のほとんどは人里離れた辺境に隠遁したり、上位の異形に仕えるなどして
人の世界から離れていった。稀に都会に住むものもいるが、それらは人と共存する事を選んだもの達
であり自らの獣性を徹底して押さえている。此処、アタウアルでも帝暦320年の人狼の代表とのル
ヒドール条約締結以来、「帝国」では人狼達は国民としての義務の履行を前提に、公式に国民として
の権利を認められていた。

 故に人狼が都市部で暴れるというのは、きわめて稀である。
 それでも一体や二体なら、酒に酔ったなりデモなりであり得ない事はない。
 が、今回のそれは明かに組織的犯行だった。 初犯でわざわざ組織である事を見せつける程に。

 最初の賛辞は都内の大手術式用具店で起きた。
 泊まり込みで警備していた3人のダブリン警備会社の警備士は、店から数十メートルはなれた生ゴミ捨
て場できちんと包装されて、クリアのゴミ袋(帝国暦三百二十年に指定)の中で白骨と化しているのを
発見された。
  店内は不自然な程に荒らされておらず、魔力結晶体のみが奪われていた。その他にも高価な術具があっ
たのにも関わらずだ。
 その話を聞いたライプがしきりに模倣犯と化そうとするのを止めるのに忙しく、リオンはあまり考える
暇がなかったが考えてみれば妙な話だ。
  純粋魔力というのは確かに貴重だが、それだけでは何もできない。
 基本的に魔学技術に劣る人狼ではまともに使うことすらままならないだろう。
 普通は術式を用いる時に、術者の精神力の援助に使うものなのだが。

「 …まぁ、あれだよ。とりあえず適当に人狼を捕縛して吐かせれば済む話だね。」
 まぁ、ベタではあるがその通りだ。リオンは頷く。 … そして気付く。 
 今の声の持ち主は此処にはいないはずだ。
 咄嗟に振り返ったその視点の先に、椅子の後ろにいつの間にか佇んでいた相棒がいた。
 バックを取られた事実に割と真剣に驚愕するリオンをよそに、その中途半端に長い耳を持つ滅殺導師は
にっこりと微笑むと優雅に会釈する。
「やぁ、お二人さん。 御気分はいかがかね?」
「あら、ライブ?  貴方何時の間に返ったんだ?」
「待て、てめぇ。実際何時の間に戻った?! 」
 リオンが戦慄しながらライブに指を突きつける。その顔は一切気配を感じ取れなかった事に対する戦慄で
微かに青ざめている。
  正確には、胸からこみ上げてならない嫌な予感に。

「ああ、それはだね。 実はリオンに特殊な装置を内蔵してあって、リオンの居場所には何時でも出現できる様にしてあるんだよ。」
「へぇ、それは便利だな。」
「確かに便利だな…   って言う訳あるかっ、変態!何時の間にそんなもの組み込んだんだ?!」

 あっさりと感心するアニタレストをとりあえず手の甲ではたいたリオンが立ち上がり、追求する。
 それに対してライブが答えた内容は、あまりにも彼の予感を裏切らず、過酷だった。
 次の瞬間、とりあえず逆上したリオンが高速抜刀。
  業剣<プロフェット>が拘束鞘から抜かれ、重量600kgという本来の超重量が解放される。
 生温い部屋の空気をうならせ、直後銀色の刀身が空気を切り裂き、唸りを挙げてライブの中途半端に長い耳
を切り裂かんと猛襲する。
 だが、その死のツッコミに対してもライプは慌てず騒がず対応。
  法魔杖を掲げ、その特殊複合合金の柄でラムダンク魔銀合金の剣先を受け止める。

ギィィィィィンンッッっ!!

 鋼と鋼が互いに牙をたて、互いを喰らい合おうと鉄の悲鳴を上げる!
 ライブも長身だが、前衛戦士たるリオンの体格には劣る。その身長差を利用し、リオンは一気に力を入れ畳み
掛けようとする。
 が、その行為はあまりに明白すぎた。
  力を入れたリオンに押し込まれそうになったライブだが、咄嗟に力を抜きリオンのバランスを崩す。
 だがだが、接近戦の達人たるリオンにはその様な初歩テクニックは通用しない 。
  バランスを崩される、と見せかけて、リオンに組み掛かろうとする。
 互いが互いの先を読む、例えるならば碁が如き勝負。…だが今回は、盤面は片方の勝利を迎える前に崩壊した。

げしっ どかぁっ!!

 唐突に鈍い音が二連続で響いた直後、リオンとライブの両名はほぼ同時に床に崩れた。 
 ふらつく意識の中、何が起きたかリオンには全く分からなかった。
 気力を起こし、体を起こしてみあげた先には…    

 「なにやってるんだ、貴方らは!」
 腰を手にあてて自分たちに説教するアニタレストの姿だった。
 薄れゆく意識の中、その大人ぶった動作がまた年齢とあっていなくて可愛いい、と思えた。
 ただ、惜しむらくは。
(… スカートの丈がもう少し短かければ… )
 …そして、気力が尽きた彼の意識は消えた。 頭の片隅で、遠く何処かで何かが倒れる音がした。
 それが自信が倒れた音だとは、すでに途絶えていたリオンの意識には理解できなかった。

                      ・
「… やれやれ。 我らが御姫様は乱暴だね…。」
 護衛相手の深窓の令嬢に見事な回し蹴りを受け気絶した相棒を引きずりながら、ライブはひとりごちた。
 あの瞬間のアニタレストの行動は素早かった。瞬間的に放たれた、弧を描いた首筋への手刀と、脚線美か
ら放たれた同じく首への回し蹴り。
 本来ならば、ライブも気絶させられていた所だ。昏倒しなかったのは、ひとえに僥倖というほかない。
 それにしても。と思う。やはりアニタレストの事はあまり好きになれそうだ。
 別にライブだって元気な女性の人間は嫌いではないが、アレは元気過ぎる。剣が振るえてしかも格闘術が
できる令嬢とは一体何の冗談だ。
 …まぁ、だからこそ興味深い観察対象であるのだが。

 そんな事を考えつつ、大理石の通路を歩いていると案外早くリオンの部屋にたどり着いた。
 波長観測式ロックを、まだ遠い彼方を放浪中のリオンの掌を使って解除する。流石最上階ともなるとセキ
ュリティからしてレベルが違う。
 何重ものロックが無事解除されたのを確認してからノブを握り、ゆっくりとドアを押し開ける。
 部屋の中はやはりというか、期待を裏切らないと言うか。庶民の一ヶ月分の収入位かかっていそうな調度
品の数々で埋め尽くされている。
 だが、さしあたって部屋のコーディネイトに興味はないのでさっさと寝室に向かい、リオンを柔らかなベ
ッドの上におろす。
 ベッドは非常に柔らかく、リオンの体がどんどん沈み込みこんでいった。
 …そのままベッドの中に消えてしまうのではないかという一抹の期待が生じたが、残念ながら今宵は悪戯
の神は乗り気ではなかったらしい。
 リオンの陥没は体が半分くらい沈んだあたりで止まってしまった。 
 気のせいか、リオンの呼吸音は早くもベッドの快適さを堪能したかの様に安らかなものになっている。

 (…だが、これではつまらないな。)
 そうリオンは思った。…だから面白くする為の行動を開始した。
 そしてペヌエルの昏い夜は、リオンの部屋から響く奇妙な音を伴奏として更けていった。

> <目次> <


第一章あとがき/と書いて強者共が夢の跡
ひそかに自分が何を書いているのか、よくわからないハムです。
てかこれって第一章でやる事と違うよなと今頃気付く。
ちなみに前回と文の表示方法が違うのは、どちらの形式が読みやすいか比較する為です。
もしよろしかったらどちらが見やすいかご意見ください。では。 

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