====序章・閃光の雷獣編=====
黄金のような髪をした英雄を見ていた…。彼は仲間と共に、一つの…異形の形をした「もの」と戦い、打ち倒した…。一人の人間はそれを知り、泪を流し、怒りをまとった。
――夢を見ていた、なんとなくわかっていた。ただ、否定していただけだったのだ。その夢を見た日が始まりなのだと。全てが動き出す日だと…。
―アシュト=クロ=レドナム、雷帝の血の引くものか…。
―そうです、彼女は継ぐ者…あの作戦に利用するのが得策かと
―しかし、彼女はおそらく『生き残り』が守護する可能性がある…。
―いや…。その『生き残り』を利用するのだよ。
―『生き残り』を…ですか?
―ああ…そうだ…彼も知らぬ内にマリオネットになりさがっているのだよ…すでにな…。
運命の時より前日…三大王国無差別武道会――
兵士「おぃ…アシュト…起きろ、アシュト…」
アシュト「むー…眠ぃのに…。…時間か?」
兵士「ああ…時間だ…これに勝てば優勝だぞ。」
フェイオルのエースは武道会の準決勝まで勝ち進んでいた…。…決勝戦までの時間までの間。仮眠をとっていた…。アシュト(…ったく…遅ぇよ。…こういう決まり事はいつも眠くなっちまう…。)
椅子から降り、屈伸をして。そういう考えをしていた。そう、アシュトはこの大会は王国フェイオルの国王が推薦でしかたがなく参加していたわけであり。今回ではじめての大会参加だったのだが…。この武道会で今まで見たこともない速さで、しかも無傷で全ての対決を勝利しているのだ。アシュトは手加減をしていて…である。次の対決の休憩時間は体力回復をするのが普通なのだが今のアシュトは暇をもてあそぶしかないのだ。
兵士「…アシュト。」
アシュト「んぁあ?」
兵士「…瞬殺でいくのか?次の試合も」
アシュト「んー…さぁな。俺は手加減してるんだけどなぁ…。相手の強さによるんじゃねぇの?」
兵士「…そうか、じゃ。行って来い。」
アシュト「言われなくてもいってやるってのっ!」
そうして、アシュトは中央格闘場へと走っていく。
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